人間世界は幸福なことばかりもありませんからね、 その中で われわれ階級の者がかえって気楽なんですよ。 by 末摘花の叔母 大弐の夫人 「宮様がおいでになったころ、 私の結婚相手が悪いからって、 交際するのをおきらいになったものですから、 私らもついか…

我が背の君は、実に自由人でございます 特に、北の方である 我の言うことなど ほとんど右から左でございます(⌒-⌒; ) 残暑の厳しい中、夜に突然、図書館の本返してくると申すので いやいや、夜も遅いし危ないよと伝えても、 例の、何の根拠もない「大丈夫 大…

清涼殿は東面しているが、 お庭の前のお座敷に玉座の椅子《いす》がすえられ、 元服される皇子の席、 加冠役の大臣の席がそのお前にできていた。 午後四時に源氏の君が参った。 上で二つに分けて耳の所で輪にした童形の礼髪を結った源氏の顔つき、 少年の美…

四十人の楽人が吹き立てた楽音に誘われて吹く松の風は ほんとうの深山《みやま》おろしのようであった。 いろいろの秋の紅葉《もみじ》の散りかう中へ 青海波の舞い手が歩み出た時には、 これ以上の美は地上にないであろうと見えた。 挿《かざ》しにした紅葉…